科学的コマを作る

その他のコマ

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「ラトルバック」「逆立ちコマ」ではないが、(動きが)面白いコマを紹介します。


s001t

いわゆる「地球ゴマ」と呼ばれているものです。
 上の写真で、心棒に水平に回るローターが付き、その心棒を縦の円輪で支え(横の円輪は縦の円輪を強くする役目)、外側に小球や溝をつけた出っ張りをもつものです。
 円輪に付いている出っ張りのひとつを糸(この場合黒色)で結んで吊るす。当然のことながらコマは垂直にぶら下がる。しかし、中のローターを高速に回したとき
は下の写真のように、心棒が水平のままコマは糸の回りを回転し回転が弱くなるま
で上の写真のようにはぶら下がらない。(心棒に細い穴が開いていて糸を巻きつけ るようになっている。この糸を引っ張って高速回転させる。)

 とにかく不思議だ。
 読む人が、どうしてぶら下がらないのだろう?などと考えてコマ作りに興味を持つようになれば、このサイトも本望だ。
 英語では gyroscope という。
 日本では「地球ゴマ」で通信販売で購入できるし、栃木県立子供科学館(宇都宮市)の売店でも購入できる。




s002t トレミー(Ptolemy)のコマ










  左側の写真は、コマの心棒の先端が針金で作ったコイルに沿って、グルグル回っているところです。コイルの端をクルっと周って戻るところなど非常に面白いものです。摩擦でエネルギーがなくなるまで、中心から端へ、端から中心へと何度も繰り返します。
 このコマは漏斗で作りました。100円ショップで2個買えます。出口を適当に切り、中心を穴あけしたテーパーした木片を差し込んで接着、心棒の下端(尖った丸み形状)を上下に調節してコマの重心と支点が一致するように固定しました。こうすると、真ん中の写真のように心棒を斜めにし回しても歳差運動(首振り運動)を起こさずに、そのままの位置で回りり続けます。
 右側に3個の部品を示しました。重心を支点とするコマを2,3作りましたが、やっぱり透明の漏斗がおすすめです。

 誰でも知っている軸対称のコマはラグランジュのコマといい、重心が支点になっているものをオイラーのコマという、というような知識の中で、初めてトレミーのコマ(16)というのを知り、同時にマクスウェルのおもちゃは上部のネジによって重心の位置を上げ下げして、力学的に調節できるものであることも知りました。重心によって支えたこまは、重力は無視できて、力の働かない自由なこまの回転となるわけです。著者によれば、このこまはトレミー(Ptolemy)のこまといわれているらしいと、イギリス製のトレミーのこまが示してあります。重心で支えるこまはオイラーのこま、オイラーのこまをおもちゃにしたのがトレミーのこまと納得しました。しかし、なぜ古代ギリシャの天文学者(Claudios Ptolemais,85?〜165?)の名前が出てくるのでしょうか。
 全く別の機会にある本(15)で、下記のような図を見ました。










 今述べたトレミーのこまです。(注)には「"Gyroscopic Top"と言われるもので、ロンドンの科学道具メーカーNewton$Co.で、1.6ポンドで買えるとあります。(本の発行は1909年、現在に換算するといくらでしょうか。) この頃はトレミーのこまとは言われていなかったのでしょうか。BACK


s003t マックスウェルウェルのこま(Maxwell's Top)

 












  マクスウェル(James Clark Maxwell,1831-1879)は、学生に外力と歳差運動(首振り運動)の関係を教えるため、支点を上下に調節できる実験道具を作った。
  現在購入できる Maxwell's Top は高価なので写真のようなものを作りました。漏斗の変わりに、1.5Lのペットボトルを使いました。心棒は4mmΦのネジ、それを蓋に止めるため4mmΦナットを2個使っています。右に回した場合、通常のコマのように重心が支点より上にある場合は歳差運動(首振り運動)は右回りとなり、調節して重心が支点より下にあるようにすると歳差運動(首振り運動)が左回りになるのがはっきりわかります。最初から心棒を傾けて回す方が良くわかります。
 日本のサイトでは、支点を重心に固定したものもマクスウェルのコマと呼んでいるし、歳差運動を起こさないコマをマクスウェルのこまという、と解説しているものもあります。私の区分は、重心は支点のものはオイラーのコマ、そのコマの心棒をコイルなどにまとわりつかせて遊ぶものをトレミーのコマ、支点を上下に調節して歳差運動の変化を見るものをマクスウェルのコマとしていますが、どうでしょうか。いずれにせよ、何ゆえにトレミーのコマというのでしょうか。BACK


s004t 4個の球のコマ








  ある本(戸田盛和:「変わった形の独楽」、おもちゃの科学(5))にあったスケッチを見て作りました。球と対応する心棒を同じ色に塗って心棒をひねって回します。球の方を持って心棒を支点にしてまわすのは難しく、倒れて意図しない球が支点となって回ることもあります。多分心棒が真直に付いていないのでしょう。
 普通のコマは回転軸に対して形状が軸対称になっており、当然(重心を通り軸に直交する二つの軸周りの)慣性モーメントも同じ大きさ(A=B)でいわゆるラグランジェのコマです。このコマは見ての通り形状は軸対称ではありませんが、横軸回りの慣性モーメントはどの方向にとっても A=B で、やはりラグランジェのコマです。
 右のコマはある心棒がついていません。あるにウェブサイトに「この逆立ちコマ、正四面体の構造で少しだけ浮かしてひねりを加えると手で持って回した方が軸となり逆さまになって回ります。」とありました。正四面体の構造?、逆立ちコマ?まさか!と思いながら試しましたが、逆立ちはしませんでした。白い球を1cmぐらい浮かしてひねり落とすと一つの球が支点になって回ります。(失敗することもあります。)何度もやりましたが、赤、黄、青が支点になりましたが白が支点になることはありませんでした。
 上記の実験をしながら右写真の物体を思い出しました。塩ビのパイプで高さは直径の1.5倍ぐらいです。写真のような状態で回してやると斜めになって縁が支点になって回ります。パイプを横に寝かせて始めても結果は同じです。高さと直径の比をある程度変えても同じです。
 回転中は重心が高くなった位置が安定だ、という説明をするのでしょうか。 BACK


Last Update 2007/9/17

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