科学的コマを作る

逆立ちコマ

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  逆立ちコマは静止状態(柄が上)で回転すると、柄が順次→横→下に替わり天地が逆転します。
  英語では、ヒックリ返る(tip)コマ(top)ということで、tippetopといいます。

 ここでは、いわゆる逆立ちコマのほか原理を同じくした「横転」するもの、コマと言えるのかどうか心配なものを含めて紹介します。 


t001t

 初めから変なものが出ました。「針金による一筆書きこま」です。
4mmΦの針金でできており、円形のリムの外形は88mm、垂直に立つアームはリム中心よりわずか下まで伸びています。(紫色に見えますが色は塗っていません。アームの白い部分にはテープをはりました。)
 このアームを下側にした姿勢で回してやると、この横向きコマはやがてアームを上側にする。すなわち「逆立ちコマ」となります。
 2003年(卒業後38年)の秋、同級会を母校の近くでやり、次の日の昼食に恩師を迎えて歓談しました。その時先生から出席者全員が、このコマと資料(10)をいただきました。
 これを契機に、面白い運動をするコマにはまってしまった思い出の深いものです。


t002t

 標準的な逆立ちコマです。

右側のように静止状態では重い方が下(柄のほうが上)になっています。柄を持って強く回してやると柄は横になり次に下になって、左のように回転力が弱くなるまで回ります。
 このコマの起源や、上下逆転するメカニズムは、近いうちに雑記帳に書く予定です。


t003t

ピンポン玉で作った逆立ちコマ
 いつものように百円ショップへ行ってピンポン玉を6個/100円で買ってきた。注意深く継ぎ合わせ部分を剥がす。南半球の赤道に近いところ一周に鉛板をつける。底の方にも鉛板をつける。北極のとこるに8Φ×10の木の丸棒を接着する。
 基本的にこれで良いが、鉛の量は、重心が球の中心より数ミリ下になり、その重心回りの慣性モーメントが等しくなるようにすること。実際は試行錯誤でするのが良いでしょう。
 最初から接着剤を使うと後が面倒なので、調整が終わるまでは両面テープを使うことをお勧め。(最近品質が良くなってピンポン玉が剥がれません。品質の良し悪しは使う目的で 変わります。) 
 ピンポン玉だから時どきはねたりして、上手に逆立ちします。


t004t

t001tのように針金を成形するのは、道具なしでは不可能です。
またしても百円ショップで線径4Φ、外径60のリングを買ってきました。
 写真のように板厚4のシナ合板(何でもいいです)をリングに接着し、リングの中心より少し下に鉛を埋め込み、カモフラージュのために日の丸を書きました。
 親指、人差し指、中指で回すか、左手で北極を押さえ右手で赤道をはじいて回すか、得意な方で結構ですが、上手く回して日の丸を上げてください。


t005t

すこしふくらんだ碁石を、静止の状態で親指、人差し指(たぶん中指も加えて)回してやると立上がります。
 百円ショップで木製のマグネットを買ってきてマグネットをとり、球の一部を作りました。これを2つ重ねたものです。
 球の半径は24、高さは26、外径38です。 中心部中心からすこし外れたところ(赤い方向)に重りを入れました。立上がったとき赤い部分が上になります。BACK


t006t

 また百円ショップで、プラスチック製の杓子を買いました。柄を切って2つ重ね合わせました。
 球の半径は50(厳密に言えば50Rと45Rのだ円)、高さは26、外径57です。
 大きく軽いので回しやすく直ぐ立上がります。BACK


t007t

    箱根に遊びに行ったとき、関所売店で買い  ました。寄木細工を使うと感じがいいと思い  ながら、多少高いけれど(350円だったか)  買ってしまいました。
   形や対称性が良く出来ていて、動きもなめ  らかで性能も優秀です。
    これから、いわゆる逆立ちコマについて
 話をするときに、標準形になるのではないか  と思って、諸元を示しておきます。特記なければ単位は、長さはmm、重さはcです。
  画像でもわかるように、(日本の)逆立コマは球の上部を  の1/3〜2/5を切り取り、更に噴火口のようにえぐりとったところに、柄(心棒)をつけています。
 右の画で、e は球中心から重心までの距離、は球の頂点から火口縁まで2は火口縁から底までの理論的距離です。火口縁は理論的には幅ゼロのシャープエッジですが、実際は丸くなって幅があるので実測値を理論値に近づけるよう修正しています。
 諸元
  実測重量=7.5  計算重量=7.4    r = 14.4  r2 = 13.0  h = 5.2  h2 = 6.5 a = 12.5  d = 5.7 e = -0.19(計算値)  a/r = 0.36  A/C=0.868  適正範囲 0.867<<1.133

  現在適正範囲の下限にあるので、もう少しr2 を小さくしてh2を大きくしたほうが良いのではないかと思います。あるいは柄の底に仮に1mmの鉛を入れても良いと思います。市販の逆立ちコマでは0.3〜0.4の重りが入っているという話を読みましたがこのコマを割るのは忍びないので出来ません。以前一般的なコマを割りましたが入っていませんでした。
 重心位置は計算値よりも少し下 -0.2〜0.3にあるのではないかと思います。次の t008t の右の図の接点 p のところに厚さ 4 の板をかませると、図のように柄を下にして静止することからの類推です。
 適正範囲のことは雑記帳 302.逆立ちコマの理論に出ているので参考にしてください。BACK


t008t

市販の一般的逆立ちコマ

   
 初めて逆立ちコマを買ったのは小豆島へ旅行に行ったときでした。お値段 400円は今でも高いと思います。
  写真の中央にあるような一般的なものなので150円が相場でしょう。観光地では高いですね。左側の大、中、小の3個はセットで100円でした(100円ショップDAISOで購入)、右側の3個はセットで450円です(大、中の色を塗り替えてしまいましたが)。
 左右の3個ものは、基準 r  19、14.3、11.7に対して、柄の直径 d は7.8、7.4、5.0で明らかな比例関係にあるとはいえません。 中央一般的なものは r = 15, d = 5.6です。a はもっとバラバラです。a/r は、左大→小、右大→小、中央の順に 0.74, 0.69, 0.91, 0.78, 0.69, 0.93, 0.91 です。
h/r は中央一般的なもので 0.4、他は総じて 0.38 です。  r と r2 は大体同じです。
 左側3個の特徴は、基準の r の球よりも底部が t だけ削られて、底の半径が r よりも大きいr3となっています。r3 と t  は,大中小それぞれ、 30 と 1.5、20 と 1.0、12 と 0.3となっています。これらとは違って右側3個の特徴は底部中心に凹みがあります。凹みの数値は計れませんが指先で触ると判ります。大で10Φ、小で6Φぐらいが曲面から外れている感じです。r3 と 凹みはいずれも逆立までの時間短縮に役立っているようです。
 a と d の寸法は A の制御に役立っています(A/Cを適正範囲にいはいるよう制御する)。a の長さには条件があります。a が大きいと最後に立ち上がるときに難しくなり、成功しても回転エネルギーが小さくなって逆立後回転を長く続けられません。かといって短過ぎると逆立が成功しません。右の画のようにコマを置いて手を離したときに柄が上に戻ることが必要です。短過ぎると柄が斜めになったまま静止します。戻るか静止するか境目の長さを限界長とすると、そこまで、あるいは場合によって それより 1〜2mm短く出来るかもしれません。  
 中央一般的なものはちょっと柄を短くした方が逆立ちがすんなり行きそうです。セットの大きさ中のものは柄を下にして静止するので、 限界長かちょっと短めです。BACK
 


t009t 









  市販のコマを参考にして自作してみました。要するに逆立ちコマは、球中心より下に重心があって、柄の軸回りの慣性モーメントCと柄と直角な軸回りの慣性モーメントA  がほぼ同じになっていれば良い。そのための形にはいろいろあるが、球に柄をつけたもの、球の上部をカットして柄をつけたものを作ってみた。
 日本の一般的な逆立コマの直径は30である。自分で球を作るのはなかなか難しいが、木工細工のための既製品があるので、それを利用すると良い。たまたま近所の100円ショップ(ダイソー)に30Φ×15個があるので、これを使うことにした。難点は精度が低いことで、28.5Φ〜30.0Φのいびつものです。(専門店のものは高いけれど精度は良いです)
 写真の左2個は全高39です。t008t の右側の柄の接点 p は球面上ほぼ同じ高さのところにあります。(左側のものの h は 4mmで、接点は 5mmのところにある。) 真ん中のこまの頂点から 4は、仮に凸凹になっていても性能に関係ありません。
 右側のコマは h は 6、全高36で、接点は角になります。柄の長さ13を10(全高33)として、t008t 右側の図のように置くと 立ち上がるかそのままかの理論上の限界になりました。しかし、あと 1〜2 は短く出来るかもしれません。
 コマが逆立ちをしてもヘナヘナと倒れてしまうことがありますが、回転エネルギーか位置エネルギー分だけ少なくなるためです。この場合は柄の長さを限界長まで短くすれば良いのですが、一方短くする回しずらくなります。
 穴グリの径は18で三つとも同じです。最初 3Φの穴あけ、下の左写真の12Φで大きくした後、小刀や改造ノミ (右写真 100円ショップの幅 9mmのノミを研磨したもの)で所定の寸法にしました。底の重りは厚み 1 の鉛板です。
 平らなふたは 1〜1.5厚の板、球形ふたは中をえぐった板を接着して、外形を削り合わせました。柄は 5Φです。





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t010t

  逆立ちしないコマを作ってみました。 
写真のコマは h=5、全高 = 37、d=5 で、外見上逆立するコマと差がありませんが、どう回しても逆立ちしません。
 下の断面図のように、穴グリ(両方とも20Φ)の底に、または壁に重りがついています。底が黒くなっている左の方は底に重りがあって C(縦軸回り慣性モーメント) よりも(水平軸回りの慣性モーメント) A が大きくなっています。

 条件式ではA/C <1+e/r となるべきところA が大き過ぎて(C が小さ過ぎて)1+e/r<A/C となっています。このままでは逆立しないのでAを小さくしたり、Cを大きくしたり調整が必要です。
 赤道の下が黒くなっている右の方は、壁の周りに重りがあるので、逆に、1-e/r<A/C となるべきところ、C が大き過ぎて(A が小さ過ぎて) A/C<1-e/r となっています。これもまた調整が必要です。
 この2つのコマは、条件式 1-e/r<A/C<1+e/r を満たしていません。どんな動きをするか説明しましょう。
 左のコマ(CA)は、回り始めると比較的早く柄の先端が床に着きそうになりますが、床をけって立ち上がる気配を見せません。
せいぜい床に触れるのが限度です。
 右のコマ(C≫A)は、柄の倒れ角が大きくなったり小さくなったりしていますが、画のような角度以上には倒れません。回す力が弱いのではないかと思い強く回しても変わりません。
 「コマのようなものは、回転すると重心を高くして安定する」という経験則は、「条件を満たしている場合は」と、付け加える必要があるようです。BACK


t011t 輪状コマ

 t001tでは名無しでしたが「輪状コマ」としました。詳しくは「横向き輪状逆立コマ」というところでしょうか。
 別のものを載せる予定でしたが、夏休みも近くなり子供さんと一緒に出来るものに変更しました。
 材料は百円ショップで買ったカラーワイヤー。このワイヤーは軟らかいので簡単に写真のように出来ます。輪の外径は7.5cmぐらい。
アームの先端は中心よりちょっと下。このままではバレやすいので写真のように下端を細い針金で縛るかテープで巻いてください。
 上をつまんでひねるか、上を指で押さえ横を指ではじくと、回ってアームが上になります。
何か画を書いて張るのも面白いでしょう。BACK


t012t ガチャガチャ用カプセルで作る逆立コマ

  

「伊藤家の食卓」でガチャ用カプセルの利法を募集しているとか。
 
逆立ちコマに変身させられるなら、ひとつやってみては如何でしょうか。        


  世の中のコマを作る解説の中には、底が丸いコマは重心を低ければ回転により重心が高くなるので逆立ちする。底に油粘土を仕込めばそれで良い、などと簡単に書いてあるのもありますが、そんなに簡単なものではありません。だからといって、コツさえつかめば難しくはありませんよ。夏休みに子供たちと一緒に一つ作ってみましょう。材料は、上の写真のように、カプセルと油粘土、その他木の丸棒、接着剤少々。我が家にはいろいろな形(卵型も)、大きさ(直径9.5cmも)のカプセルがあって変身を望んでいます。

 順を追って一つ一つ進めます。
 まず柄についてですす。材料は木の棒にしましょう。
左図のdはコマが大きくなれば大きくします。大きいコマに細い柄では回せません。上の写真のものはr=32mm(これからmmは省略します。)、d=15.5にしました。dが大きくなると重くなると考え、中グリをしましたがそんな心配は不要で中実のもので十分です。
下の写真の左のものはr=15でd=5、右の二つはr=24でd=7と8(8の方が良い)です。
 a は10としました。短いとつかみずらいし長いと逆立ち最後のところでへたってしまいます。短くしすぎても逆立ちちしないようになります。a を短くしていくと、左の図でカプセルの肩の部分=地面との接点が左に動き赤い線が時計の針と反対方向に動いて重心を通り過ぎます。こうなるとコマは柄を下にしたままで、起き上がりことが出来ません。回転中にこの状態になるのは重心が最上点から下がることになるので、コマはそちらに移動しない、すなわち逆立ちしないということです。この状態になっているかどうかは重りを配置終わった最終状態で調べます。
 柄の先端周囲は、ギザギザ溝を入れると回しやすくなります。(地面をけって立ちやすくなると思っていましたが違うようです。) また、頂上は d が大きくなれば軽い丸みを持たせるようにします。
 柄とカプセルの接着は急ぎの仕事でも超のつかない速乾性のものが良いでしょう。
プラスチックの材質により接着が上手く行かない場合もありますが、あいだに両面テープを入れて短時間しのぐことが出来ます。
 次はカプセルの形状です。
下半分が地球になぞらえて、南半球の球状ならば、北の部分は球である必要はなく、3個写真の中のように肩がいかっていても、途中に段差があってもOKです。
 最後に重りの配置です。図面を見ながら考えてください。
方法は二つあります。ひとつは t003t ピンポンの逆立コマで使った方法で、重心を下げるために底に重りmをつける。
次に赤道下回りに重りつける。半径の10〜20%下あるいは地球に見たたて、南緯10度〜20度に重りを回す。
 ここで何故そうするのかを説明しましょう。
 逆立するためには下が球面で、1)重心は赤道より下にあり、2)z軸(南極と北極を通る軸)回りの慣性モーメントCと、これに垂直な軸回りの慣性モーメントAがあまり違わないことが必要です。(数式で書くと(1-e/r)C<A<(1+e/r)となる。詳しくは 雑記帳302.逆立ゴマの理論 を見てください。)
 何も手を加えないカプセルに柄を付け、底に重りを配した状態では C に比べ A が大きくなりすぎ、逆立しません。重心を変えるだけの簡単作業では逆立ちしないというのはこのことです。そこで C を大きくする重り配置を加えればいいわけですね。重心のある緯度に重りをつけると C は1増えても A は0.5しか増えないので全体の A と C を同じになるように変えることが出来ます。
 もうひとつの重り配分法は適当な南緯に重りを配分すると、重心も下げるしAとCの関係も上手く出来ます。この方法でやってみたデータは下記のようになりました。油粘土の密度は2gr/cm3

         本体重量 重り重量 概略緯度(南緯)  r  d   a
 上の写真     22.4   12.3   20°〜45°   32  15.5  10
 下の写真の右    10.5    5.2   20°〜50°   24   7.0  10
 下の写真の中     6.4    3.8   20°〜45°   24   8.0  10
 下の写真の左     3.2    1.5   22°〜45°   15   5.0  10

このデータを厳密に考える必要は無さそうです。適当に見当をつけた重量で南緯が低い方から実験していくと(上のデータからは中央値で20数°のようです)(1)t010tに示したような軸がある範囲に止まっている状態(2)軸が行ったり来たりしていると思うと一気に逆転に入る状態(3)適当な速さで逆立ちせいりつ(4)逆立ち状態に近づくが立ち上がりでヘタッてしまう(5)t010tに示したような A 過大の状態と順次変わっていくので適当なところで止めてください。上手く行かなければ重量を変えてやってください。注意する点はz軸に対して出来るだけ対称にすることです。
 そんなに時間のかかるものではありません。20分もあれば十分です。成功を祈ります。BACK


013t





変形(楕円、卵型など)の
逆立コマ





 逆立ちコマの基本形は球形ですが、t005tのような碁石形でも横立ちはするし、卵形でも横寝から立ち上がる。こんなことを考えながら、本体(柄を除いた部分)の高さが小さいものと大きいもの作ってみました。
 両方とも、胴回りの直径は 29mm(\100ショップの呼称30mmΦの木球を使用)、柄の直径は 4mm です。本体の高さは低い方が 21mm、高い方が28mm。上の部分と下の部分は別々に作って(削って)後で接着しました。重心位置は内部の底に鉛を配置して調節しました。右の図に 29mmΦの球(赤丸)に比較した出来上がりの形状を示します。
 注意した点は、静止の状態で写真のように底が真下になっていること、傾けて柄を床面につけても手を離せば静止の状態に戻ること、静止と逆立ちのとの重心高さの差を出来るだけ小さくすること、重心から接点までの距離が逆立の終わるまで増加すること、縦横の慣性モーメントの差を出来るだけ小さくすることなどです。
 思ったより本体の高さの差が小さいです。差を大きくするのは、今後の課題とします。BACK


014t 球欠逆立コマ



  球欠とは球の1部をカットオフしたものをいうことにします。したがって球欠逆立コマは、右の図面のように球の上部部分をカットオフして、柄をつけただけの逆立ちコマです。 
 材料は米国製の木製品、Lara's Crafts社、1in DollHeadをジョイフル本田で購入しました。呼称直径は25.4mmですが実際は25.2、a=22.5mmで4.8mmΦ×深さ17mmの穴があいています。1個¥32で高い感じもするが、精度の悪いもので苦労することを考えると、結局はお得なのかも。
 結果は、左から@〜Dと番号をつけ、下表に示します。


a b d r α° 性能
@ 20.2 34.0 4.0 12.6 37
A 18.9 34.5 4.8 12.6 30
B 18.3 34.2 4.8 12.6 27
C 17.5 34.2 4.8 12.6 23
D 16.4 37.7 4.8 12.6 18 ×

  横軸回りの慣性モーメントをA縦軸回りのそれをCとすれば、球中心と重心間距離をeとおいて
    (1-e/r)C<A<(1-e/r)C
という関係が必要です(雑記帳302.逆立ちコマの理論を参照)。球の場合は A=C ですが、カットオフの量が大きくなるにしたがって e が大きくなり、A<C となります。それを柄の重量でバランスさせることがポイントです。
 @は、重心を下げたいため、d 小さく(4.8→4.0)しました。このときのカットオフの位置は北緯37°で市販のコマより少し小さくなっています。(t007t購入品at箱根では40度です。上面を凹にすることで重心を下げています。)A、Bは立派な逆立コマです。横に倒しても手を離せば直立します。Cでは、台の傾斜や面の状況あるいはコマの周囲位置の差で、倒した位置で静止したり戻って直立したり微妙な位置になっています。下の左のコマがもっと倒れ、重心()が円周の角からの鉛直線上に来たとき、柄の端が台に接したり離れていたりする状況になっています。逆立ちはするのですが確率悪く、下半分だけ赤色を塗りました。Dは逆立ち出来ません。倒して置くと倒れたままです。回転させると倒れていって下図の右のような状態で、柄の端は台に接することもなく周り続けます。逆立しないので木地のままにしておきました。
 コマの重量の反力は台とコマの接点で垂直に働きます。球の場合は球の中心に向くということです。コマは重心軸周りに回るので接点は円を描くようになり滑り摩擦が生じこの摩擦力のジャイロ効果で逆立するわけです。コマが左から右のような状態になってしまえば滑り摩擦はなくなってしまうのでこれ以上は倒れません。
柄を短くすれば逆立しやすくなりますが、倒れたまま静止してしまうようでは逆立しません。BACK











t015t スマイルフェイス















  100円ショップ(ダイソウ)で、「化粧品やシャンプーなどの携帯に便利!」というsmiley faceの小分けボトルを2個100円で購入した。早速上記写真のような逆立コマを作った。
 ボトルのキャップを逆さにしたときの断面図は、図の@のようになっている。底中心に2.5mmΦの突起があり、重心位置は球(半径 13.9mm)中心より下 3mm にあって、柄を差し込んで重りを入れてください、と言っているようなものである。しかも、力学的特性は A/C=0.7で、柄や重りを入れると 1 に近づくので具合が良い。(AやCについては、雑記帳302.逆立コマの理論を参照。)
 写真左のものの作り方を、図を見ながら説明しよう。Aは 6mmΦの竹(または木)の棒で、長さ 32mm、一端に 2.5mmΦの穴をあける(難しければ錐で大きめの穴をあけ接着剤を使って固定する)。この棒を差し込んで回してみると、柄は10時〜2時位のところから下には来ない。未だ C が大き過ぎるためである。次に油粘土1.5〜2.0グラム(1立方センチ程度)を、Bのように埋める。適当に、割り箸の先などを使って平らにしよう。これで完成。油粘土を減らしたり増やしたりして試してみると面白い。結構広い範囲で逆立ち可能である。
 写真の中と右は重りを入れた後、平板やふくらんだ板で蓋をして柄をつけたものである。BACK


t016t ピンポン球













  ピンポン球の逆立ちコマは t003tで紹介したが、継ぎ目を注意深くはがして再接着するものだった。山歩きの仲間に「この頃品質が良くなって剥がすのが難しい」と話したところ、「そんなことはないよ」と、”割れ”たボールを沢山貰った。勘違いがあったわけだが、折角もらった物だから何とかしようということで、このような物を作った。
 ボールはラージ規格(直径44mm以下)で実直径は43mmΦ。継ぎ目に”割れ”があるのでその部分を除く。底から36の高さにしたいので北極点を中心にコンパス半径18でボール面に円を描き切り取る。板厚3、直径約36の中心に7mmΦの孔をあけ同径の棒(両方とも材質は木)を面に直角で15突き出るように接着する。板の端部をボールの上端部に合うよう整形する。柄を電ドルで加えてサンドぺーパー(板に両面テープで固定)で削る。途中、ボールの上端部を変形し、板をボール内に入れ上に引っ張りながら会い具合を調整する。
 ボールの底・南極点を中心にしてコンパス半径 24と16で2つの円を描く。この範囲の内周面に約4gr弱の油粘土を貼り付ける。接着力が弱そうなら両面テープを使う。
 整形した板の周りに両面テープを張りボール上端に仮止めして逆立ち状況を確認し、必要ならこの範囲内で粘土を上部に多く/下部に多く変化させて最適位置を見つける。僅かの差で性能が変わるので辛抱してやってください。最終的には両面テープを取って接着剤で固定すること。 後は適宜塗装などですが、この例の場合は粘土の影を消すために粘土範囲を塗装しました。 BACK


t017t ゴルフボール













  ピンポン球を再利用するなら、我が家に沢山ゴロゴロしているゴルフボールに目をつけました。ゴルフボールは直径42.7mm、重量45.93gr以下と規定されている。昔、糸巻きボールの頃はボールを輪切りにすることなど、とんでもないことでした。今はソリッドになっったので使用後の楽しみができました。
 Aはゴルフボール。まず頂点からコンパス半径18.5で円を描きのこぎりで切り取る。高さが34になる予定です。多少の誤差は構いません。丸形彫刻刀(百円ショップで半径5〜10位のものでOK)で29Φ深さ21の穴をあける。これもできるだけその寸法になるように、という気持ちです。23〜24grになる筈です。
 Cの3mm板に穴をあけ、Bの12Φ丸棒が高さ15で直角になるように接着。材質は木。Bの中心がAの中心と一致するようにしておおよそのCの形状を大きめに決める。Cの下面外周に両面テープを張りAにつけて回してみる。問題なければ接着剤で固定して、サンドペーパー(凹面の板に固定した)で仕上げる。
重いので柄の上端に何個か溝を彫った方が良い。木部の塗装は自由にしてください。
 t014tのように上部を切り取っただけでもできます。このときはゴルフボールの高さ32(コンパス半径21)とし、柄を10ぐらい埋めて残り高さ22〜24にしてください。重いので回すのが大変です。  BACK


018t カラーボール












  DIYのお店へ行ったら、クリスマス(ツリー)デコレーション用 40Φ(実測は39)カラーボールを売っていた。金、銀(写真参照)の他赤や青、しかもつやの有り無しがあって8種ある。6個*8種買って792円でした。3個で2個のコマが出来ます。既に12個作りました。近いうちに残り22個完成させます。
 カラーボールを切って下部1個/1個、上部2個/1個を作る。3個で2個作ることが出来る。下部を切り取るコンパス半径は18。上部用のコンパス半径は21。上部の頂点に7Φ*9.5の木の丸棒を接着して上部は完成。下部には上端から16と24の距離の内周の間に、3.5grの油粘土を取り付ける。適宜両面テープ使用。上部の下端内外周に両面テープをつけ下部と仮止めして性能確認。よければ上部の下端内外周に接着剤をつけて下部と固定。
 t016tピンポン球では半透明なので内部から範囲を示す線が見えたが、この場合は黒く不透明なので内部で計測する必要がある。幅の狭いスケールで計りながら粘土を範囲に収めることも出来るが、今後まだまだ沢山作ることになるので、右図のような型板を作った。有用である。
 この範囲の中でも性能は変化する。上部の方に粘土が集中すると、柄は傾いたと思うと戻ったり、あるいは何回か行き戻りして逆立する。下部の方に集中すると直ぐに傾き柄が床を擦るが逆立ち出来ない。少しずつ分布を変えて性能の良いものにしてください。大体 2〜3秒で逆立します。 BACK


019t 米国のガチャポンで購入したもの












 



 2005年11月、米国ケンタッキー州のあるスーパーで、ガチャポンにコマが入っているのを見つけました。丸いコマは逆立ちコマに違いないと、1回50セントで10回トライしましたが逆立ちコマは2個で終わってしまいました。よく見ると made in china で、他のコマの形状は普通のコマでチカチカ光るもの、蛍光のように光るものでした。
 寸法は右図(単位はCM)のようなものです。材料はプラスチックで上下赤道のところで接着されています。重さは7.5gr。柄には溝があり先端角は丸くなっています。溝は立ち上がるとき床面を引っ掛けるために必要だとの思っていた考えは間違いだとわかりました。
 面白いところは、下側の円の中心と上側のそれとが一致してません。上の中心は下の中心より2mm下にあります。計算してみると重心は4mm下にあり、もし同じ中心にしておくと逆立ち前後の重心の高さの差が大きくなり逆立ち性能に不利に働くでしょう。安定感のある逆立ちをします。C/Aは0.89で限界値0.84をクリアしています。黄色のもの、下半分を赤くして楽しんでいます。  BACK


t020t 横転コマ















 t005tやt006tで、名前も付けずに横向きに立ち上がるコマを紹介しました。今回は2番煎じの感がありますが、このサイトでは「横転コマ」と呼んで少しコメントを追加します。
 右の写真は横転した後で、赤色部分が上になるようにしてあります。もし横転したときに白色部分が上になっていれば直ぐに赤白は逆転します。
 
 寸法などを含めて、いくつか作り方のコメントをします。
 
 木材で作るとき、ソロバン球がつながった様なものを、
 木工ロクロでつくり切り離して結局手仕上げです。
 直径Dの場合、厚みTDの0.4〜0.5ぐらい。
 球面の半径Rは中央に適当な幅があるようにすること。
 最終的には丸く仕上げることになるでしょう。
 つまみ(心棒)は上手くひねることが出来る最小サイズ。
 つまみの上に同じくらいの径の穴をあけ鉛または油粘土などを詰め込んで、意図したように上になるか確認した後フタをします。最後は上半分を赤、下半分を白に塗り分けます。もちろん上下の色は赤白に限らず何でも自由です。
 木材から削るのは大変でしょう。木製のマグネット、プラスチックの杓子(どちらも百円ショップで購入可)などを利用しても出来ます。横転コマを作るために缶入りチョコレートを買ったことがあります。もちろんお目当ては「缶」でした。  BACK


t021t たまごの立ち上がり

左の底が黄色のものは
幼児用の形あわせオモチャ。
プラスチック製。


右の赤底は本当のたまご。




(左)立ち上がったときの状態。

 

  ゆで卵を水平にして高速に回転させると直立に立ち上がることは、よく知られています。
 左上の写真の左側は100円ショップで買ったもので、プラスチック製で半分に分離すると右写真のように簡単な形のメス・オスになっている幼児用オモチャ(以下オモチャ)です。右側は本物の卵の殻(以下殻)です。直径2mm位の小さな穴をあけて中身を吸い出しました。
 卵にはやせた(小さな丸み)端と太った(大きな丸み)端があります。やせた方は空色、太った方ではオモチャは黄色、殻は赤色に塗りました。
 水平(静止)状態で回したらやせた方が下になると思っていましたら、違いました。何気なく回せば赤や黄が下になって回ります。やせた方を静止状態より下に傾けて回せばやせた方が下になって回ります。オモチャは黄色が下になったとき直立しません。実はオモチャの場合、太ったほうの曲率半径が大きくて黄色を下にしても静止します。静止するときは重心が低いわけだから、最初黄色に向かうときは重心が高くなって行きあるところを超えると又低くなる・・・回転中は重心は低くならないからその点(直立の手前)で 止まってしまうのでしょう。
 卵の立ち上がりについてはもう少し詳しく書きたいところです。雑記帳に「304卵はどっち側に立ち上がる?」を用意しました。どうか訪ねてください。 BACK


t022t たまご形の逆立ちコマ


  前項のものはゆで卵を模したもので、横に寝た状態からの立ち上がりでした。
今回は写真のように丸いほうが、底にある状態から上に変わる本当の逆立ちです。


  下の写真をクリックしてください。逆立ちの動画を見ることができます。

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 材料はお土産やで買った「金のお守りたまご」です。1grにも満たないつまらない石が入っていました。
もちろん目的は容器そのものでプラスチック製金色真空蒸着でピカピカ光っています。直径が50mm、高さが60mmのものに12mmΦの柄(木製)をつけて全高70mmになりました。右の写真のように油粘土を下部(左)だけではなく上部(右)にも付けました。
 難しい点は逆立ち前後で床面からの重心高さの差が大きいので、縦軸まわりの慣性モーメントを十分大きくすることでした。逆立ち前の回転エネルギーが逆立ち後の位置エネルギーで食われて逆立ちしたと思うとすぐに倒れてしまうことを防ぐためです。  BACK  


t023t カラーボール(その2)

 以前にもカラーボールで作りました(t018t)。出来上がりは丸いものでカラーボール3個で2個のコマになりました。昨年(2007年)の暮れにかけて今度は100円ショップにも出てきて安くなりました。その上今度は1対1で出来るのでますます材料費が安くて済むようになりました。2ヶ月の間に80個位作ったでしょうか。写真のものは50Φ、40Φ、30Φ、25Φのものでプラスチックのメッキ(真空蒸着)もので表面に模様付のものもありとてもきれいです。
 作り方は、t016tピンポン球 と同様です。前回、帯状に粘土を付けましたが(ときどきポンポン跳ねるのは粘土がないところがある故かと思い)今回はできるだけ広い範囲に付けました。
 粘土の付け具合で逆立ち性能が変わります。詳細は 「雑記帳」「305 逆立ち性能実験」を見てください。     BACK


t024t 糸引き逆立ちコマ

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  先に「t022tたまご形の逆立ちコマ」を作ったとき、「t021tたまごの立ち上がり」に使った殻でも試作してみましたが上手く行きませんでした。立ち上がる頃にはふらふらとなってしまいます。最初に与える回転力が小さいためだと考えて、糸引きで回転することにしました。
 同形の殻で写真のようなものが出来上がりました。白い部分を掴んで糸を引くと上下つながった赤い部分が回転します。これで十分な回転力が得られます。
 何はともあれ立ち上がるところを見てもらいましょう。

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 現在の大きさは直径45mm高さ60mmです。糸引きならばもっと大きなものでも逆立ちさせることができるでしょう。できるだけ早いうちに作ってみます。   BACK

t025t グルグルコマ(ダイソー)の改造











 100円ショップ・ダイソーで写真(中)のようなコマを見つけました。糸引きコマですが「グルグルコマ」と名付けられています。逆立ちコマに改造できると思い早速購入しました。断面は右の仕上り断面の赤線と黒線で示されています。直径53mmの球形で心棒(上部は11mmΦ)がついています。重心は急の中心より下にあってまさに逆立ちコマです。糸引きで回してみると、回転が遅くなってくると心棒が倒れ床をすりますが逆立ちはしません。上端の丸い部分を切り取り角を付け、滑らないよう円柱部に両面テープをはって手で回してやるとときどき逆立ちが成功します。これでは実用にはならないので、ひねり部分の径を20mmΦにすることにしました。結果は仕上り断面の赤線と緑線とで示します。ひねり部の材料は外径20mmΦ内径11mmΦの中空丸棒でこれもダイソウで購入できます。穴が大きければ心棒に紙などを巻き接着します。ひねり部上端は目安30mmRの球面です。
 逆立ち性能は優です。塗装を変えて左の写真のようになりました。 BACK  



t026t オモチャの野球ボール(ダイソー)


   また、ダイソーの材料になってしまいました。6個組みで100円です。
 本体は直径62mmのボールを高さ53mmでカット。
 上蓋は3mmの板、柄は15mmΦの丸棒、共に木材。柄の先端は半径25mm〜30mmの球面にしてある。板と棒を接着してから棒中心の半径を維持しながら、ボールの内面に合うようにヤスリ仕上げ。
 ボールの内側、高さ33mmまで、14.5grの油粘土を均等に塗りつける。
 ボール内面と板との接着にはプラスチック用のコニシのGPクリヤーを使用。
 重量は全体で28grの仕上がり。木に赤塗装したがボール面が殺風景なので油性ペンで縫い目なぞった。
 逆立過程は一度130°ぐらいに傾いたら40°に戻りそれから一気に逆立する。静止状態で20°ぐらい傾いているので軸対称が崩れている。軸非対称が1回戻りの原因かどうか不明である。勉強しましょう。BACK 


t027t リラックスバスライト(ダイソー)






  

   (1)大きな柄(つまみ)      (2)小さな柄            (3)柄なし
  
  表題はダイソー(百円ショップ)の商品名です。(3)の中に5時間ぐらい光る棒を入れて、お風呂の照明を暗くして湯面に浮かべれば、お風呂が癒しの空間になるというものです。小さいお子さんと楽しんだあと、逆立ちコマに改造すればいいですね。
 (1)は t017tゴルフボールのコマと同じように上部を作ったもので、大きさを比較してください。
  卵カプセルの大きさは直径75mmΦ、高さ87mmです。手を加えなければ横たわっています。この状態で回転させると尖った丸のほうを下にして立ち上がります。(理論的には大きな丸のほうを下にして立ち上がることもあるのですが、難しいです。)

 その卵カプセルの下部に、左図のように油粘土3grを付けたものが(3)です。
 (3)は静止状態では大きな丸のほうが下になります。




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  この動画を見て記が付くと思いますが、回転力が不十分で逆立ち後は不安定です。道具を使って強力に回転させようとしたものが(2)です。暴れててしまって上手く行きません。別法を考えます。
 なお、油粘土は(2)で5gr、(1)で6grです。付け方は(3)と同様です。
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t028t カラーボール(その3)

    







  


 クリスマスの飾りつけに使われる「パーティボール」「カラーボール」「オーナメント」といわれるもので作ってみました。重量調整は油粘土です。南極部分の粘土で重心が球中心から 半径の0.1下になるようにして、重心位置の緯度回りに粘土を張り付けるやり方です。計算をせず、トライ&エラーです。
 [球の直径、柄の直径、重量]データは、左から[100mm,20mm,36g]、[80mm,20mm,27g]、[70mm,15mm,19g]、[60mm,12mm,20g]、[50mm,10mm,12g]、[40mm,9mm,7g]です。2番目の金色の柄は、最初直径15mmで作りましたが細すぎて回転が難しかったので、上のほうに帽子というか木の直径20mmのはちまきになるよう改造しました。最右ののものはt018tカラーボールと同じ作りです。この手のものは、もう100個ぐらい作ったでしょうか。BACK


Last Update 2010/2/3

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